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農業ディレクター浜平の挑戦!

Page28:グローバルGAPとの違い

こんにちは!いよいよ夏本番ですね、今年の夏はどんな計画を立ててますでしょうか!?海や夏祭り等イベントも多く楽しい時期ですが、熱中症や夏バテにはお気をつけ下さい。

暑くなるこの時期、食品の扱いにも気をつけなければいけませんね。そんな中、つい先日中国の食肉輸入問題が話題になりました。日本国内でもある外食チェーンが、この消費期限切れの鶏肉やカビの生えた肉を輸入し、一部店舗で使用していたとのことです。中には、46年前の肉を化学薬品に漬けて使用していた例も・・・さらには一度床に落ちた肉なども、そのまま加工していたことも判明しました。もし、このような食品を自分が食べていたら、そう思うとぞっとしますよね。

しかし、この様な輸入食品の事件は今に始まったことではなく、1年ほど前の抗生物質に漬けた病死鶏肉の使用問題やそれ以前に話題になった「農薬入りギョーザ事件」、また、廃油再利用問題など後を絶ちません。物を買って食べるという事がとても信じられなくなるような事件ばかりですよね。

さて、今回も輸入していた会社の責任者がこのようなことを言っていました。「こんな事とは知らなかった、私達も被害者だ」。確かに仕入れ先から告知なく悪いものを買い取らされていた訳ですから、輸入した側も被害者と言えるでしょう。しかし同時に、どんなルートで、どの様な生産工程を経て、自社がお客様のお口元へ届けている食品の原料が届いているのかを知る事も私は重要だと思います。

同時に「人」が大事ということも思い知らされます。立派なマニュアルがある会社でも、この様な事が平然となされているという事は、“現場の人員のモラルの向上”、“周知徹底”が如何に重要かということではないでしょうか。

また違和感を感じるのは、「この様な食品を使っても健康被害のリスクは無い」と断言できる事です。菌を死滅させる、菌を増やさない為の方法、これをかんがえてみましょう。保存料や強力な添加物の存在を気にせずにはいられません。そのように薬付けにされた食べ物は安全なのでしょうか。食の安心安全が問題となって久しいですが、なかなかこの様な問題は無くならないですね。

さて、今回は「グローバルGAPとの違い」についてです。志の高い生産者さんに、「JGAPとグローバルGAPどちらを取得した方がいいですか?」と質問されます。これは大変良い質問です。世界進出を目指しているのかもしれませんね。しかし、そういう時、私はJGAPの方を勧めています。それはグローバルGAPが出来た欧米の農業環境と、JGAPで運営する日本の農業環境があまりにも違う為です。実際グローバルをそのまま適用しようとすると、なんかしっくりこない。生産が違えば、基準も違います。しっくりこないのは当然ですよね。

例えば、過去のコラムでも触れたとおり、欧米の農業の面積規模と日本の農業の面積規模はあまりに違います。海外の映画で見る広大な敷地を思い浮かべて下さい。「私にはタラがある!」、そんな広大な土地を思い浮かべたあと、日本の牧歌的な農地を思い出してみて下さい。「私には多摩がある」、ほのぼのとしていますが、スケールが違いますよね。一枚の畑が数十ヘクタールの規模と、数十アールの規模では、当然注意しないといけない問題に違いがあるのです。

そのうちの一つが以前も触れた「ドリフト」の問題です。一枚の畑が数十ヘクタールもあり、隣接する畑との距離が相当ある場合、ドリフトの問題はほとんど気になりません。しかし、日本の農地は隣の畑まで土手一つ分(数十センチ)のところもあります。また、欧米のような見渡す限り広大で平坦な土地でする農業と、日本の土地を活かした高低差のある山間地域や入り組んだ変形した土地などでする農業とは、作業の危険性や機械の操作などリスクの考え方に大きな違いがあります。これらの理由から私は各々のGAPが発祥した国、地域に合ったGAPが一番じゃないかな・・・と思います。逆にJGAPはこれだけの環境を前提としているので、同じような環境ならともかく、世界に発信できるGAPではないかな・・・とも思います。

また、発祥の経緯も違います。グローバルGAPは「ユーレップGAP」を前身としています。「ユーレップGAP」とは欧州の小売業者を中心とする団体が、生産者さんに対していわば最低限の義務として課した事が発祥の原因となっています。対して、JGAPは、このユーレップGAPを参考に生産者さん側が自発的に取り組んできたことが原点です。このような背景を見ても、JGAPは積極的に良くしたいという自発性が作りだしたと言っても過言ではありません。

先ほどの食肉問題にも言えることかもしれません。環境に合わせてルールをつくり、実行する。そして販売者はその生産やルーツ、現場の意向がみえるようなところと取引をする。そして美味しいは勿論、安心安全な食品をお客様のお口元まで届けること、これはGAPでは当然のルールですが、すべての食品で言えることかもしれませんね。

さぁ、グローバルと比較してみましたがいかがでしょうか。今度は国内の他基準と比較してみましょう。次回は、~JAS有機、ISOなど他の認証制度との違い~について説明いたします。お楽しみに!