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農業ディレクター浜平の挑戦!

Page23:「環境保全型農業」から~閑話休題~

こんにちは!ゴールデンウィークはどの様にお過ごしになられましたか? 前回は「動・植物について」でしたね。主に考えるべきポイントは3つありました。

1自分の農場の周りの動植物の把握

2その動植物によるリスク、逆に動植物に対する影響の検討

3そして対策の検討と実施

さらには何故GAPに、環境に関する事が盛り込まれているか・・・ということにもふれました。豊かな自然と共存することが、持続可能な農業の一歩、ここは分かっていただけたと思います。

さて今回は閑話休題、農業からは少し離れた話題について考えてみましょう。その話題というのはニュースで注目されている「ウクライナ情勢」です。あまり穏やかではない話題を耳にした方もいらっしゃるかもしれませんね。

実際のウクライナはニュースのイメージとはちょっと異なり、非常に文化的な国です。私が個人的に好きなピアニスト、ホロビッツもウクライナの出身。世界的に有名なスープ料理、ボルシチはここウクライナが発祥という説もあります。また第48代横綱大鵬の父はウクライナ出身、小さいながらも色々な文化が開花した場所でもあるんですね。

この「ウクライナ」という国は、首都がキエフ、人口4500万人程です。東ヨーロッパに位置し、ロシアやハンガリー、ポーランド、ルーマニアに囲まれています。かつて大きな原発事故があったチェルノブイリがあるのもこの国の北部です。


歴史的なところを追ってみると、もともとは様々な遊牧民によって生まれた国でその後も周囲の大国の影響を受け、戦争に巻き込まれながら現在のウクライナという国家があるんですね。しかし、様々な遊牧民や列強にさらされてきた背景がある以上、国内事情もちょっと複雑です。

まず地理的には大きく3つに分かれます。その3つとは「西部」「東・南部」、そしていま話題になっている「クリミア自治共和国」。

このエリア、場所によって特徴も様々です。「西部」ではウクライナ人としての民族意識がより強くロシア語をあまり使いません。宗教もローマ教皇が先導するユニエイト教会の所属が多数派とされています。自国の意識が高い地域といえそうですね。

対して「東・南部」ではウクライナ人としての民族意識はあまり強くなく、ロシア語も一般的に使われています。宗教はロシア正教が多数派です。

そしていま話題の「クリミア自治共和国」、ここでもウクライナ人としての民族意識はさほど強くなくロシア語も一般的に使われていました。宗教はロシア正教。今回、3月16日の住民投票でロシアへの編入が支持された地域となります。

それでは今回の問題を考えてみましょう。

この地域では昨年末から反政府デモ隊と治安部隊の衝突が起きていました。その中で発生したのがクリミア自治政府のロシア編入問題です。デモが暴動となり事態が悪化する中、ヤヌコビッチ大統領が首都を離れました。

…大統領不在、つまりクーデターが成功し、これによって落ち着きを取り戻すかな、と思われたのもつかの間!クリミアのロシア編入の住民投票が行われます。しかもその際、実際はロシア軍である「自警団」がクリミアを実効支配する中で行われたという背景もあり、これをEUをはじめ欧米各国が非難しているんですね。

加えて、「近隣諸国を編入しても構わないとする発想」が昔の帝国主義的だとの批判も生まれました。

では実際クリミアの人たちはどう考えているのでしょうか。投票には住民の82%が参加、その中の96%以上がロシアとの統合に賛成票を投じています。つまり国民の8割弱が、ロシアになることに賛成なんですね。いかに政治的な議論が生まれても、この住民投票の有効性を無視する訳にはいきません。また、このクリミアのロシア編入を覆すだけの影響力が今の欧米には無いのではないかといわれています。

角度の違う正義や影響力のぶつかり合いによりジレンマが起きているというのが現状です。国際的に考えますと、「ウクライナの国家分断」と「国際社会への影響拡大」、この2つにより「冷戦の再燃」…このような不安も否めませんが、ロシアのプーチン大統領はこの不安は否定しています。

さて、何故私が今回この話題を取り上げたかといいますと、安倍首相の歴訪によりロシアと日本は急接近しています。このロシアとの関係、そしてロシアと素晴らしいとはいい難い関係を持っているEU各国、さらには先日訪日したオバマ大統領率いるアメリカとの関係、この三つ巴の国際情勢の中、今後の日本のスタンスは非常に重要な意味を持つと思います。まずは経済開放の面でTPPという新たな開国が始まりそうです。そうするとなおさら、人ごととは思えないニュースでした。

ちなみにウクライナの国土の約7割で農業が行われており、農地と草地を合わせた面積は4000万ヘクタール、これは日本の約10倍です。農業人口割合は17%、つまり10人中2人ぐらいが農家さんです。ウクライナは立派な「農業国」、これも気になった原因の一つかもしれません。

さあ、次回からは気分を切り替えて、次のテーマ「生産者の労働安全の確保」という内容に移ります。こちらも最近ニュースで話題となっている労働問題。農家さんの労働安全はGAPでどのように守られているのでしょうか、お楽しみに!